
監修者
木村太一 / 留学FACTORY代表
フィリピンの語学学校へ現地就職。その後、旅系YouTuberとして毎年10カ国を回る。現在は旅系YouTuberの活動と並行して、手数料ゼロの留学エージェント「留学FACTORY」を運営。フィリピン・セブ島を中心に留学をサポート。
留学を考えている社会人
『留学エージェントを調べてたら「手数料無料」って書いてあった。でもタダより高いものはないって言うし、無料ってむしろ怪しくない? どこかで上乗せされてるんじゃないの…』
こういった疑問に答えます。
本記事では、留学エージェントの「無料」が信用できるのか判断できず、申し込みに踏み切れない社会人・大学生の方に向けて書いています。フィリピン(セブ島)留学を検討している方を主に想定していますが、考え方はどの国でも同じです。
先に結論から。
無料エージェントが信用できるかどうかは、「無料かどうか」では決まりません。判断できるのは、この3点だけです。
①お金の流れを説明できるか。誰から収入を得ているのかを、その場で言えるか
②料金の内訳を書面で出せるか。含まれるものと含まれないものが分かれているか
③解約・返金の条件が契約書に書いてあるか
つまり見るべきは価格ではなく「中身を書面で見せられるかどうか」です。無料でも書面を出す会社はあるし、有料でも出さない会社はある。だから料金体系だけを信用の物差しにすると、判断を外します。
先に断っておくと、僕たちが運営する留学FACTORYも手数料ゼロのエージェントです。だからこの記事は「無料は安全ですよ」と言うために書いていません。むしろ最後のチェックリストは、そのまま僕たちに当ててもらって構わない内容にしています。
では見ていきます。
結論: 留学エージェントが無料か有料かは、信用の判断材料としては弱いです
結論から言うと、料金体系だけでは信頼性を判断できません。理由は2つあります。
1つ目。確認できる範囲では、留学エージェントそのものを対象にした国の登録・許可制度は見当たりません。旅行会社のように「登録番号がないと営業できない」という枠組みが、留学のあっせんには基本的に用意されていないということです。
つまり「国のお墨付き」という仕組み自体が見当たらないので、お金を払ったからといって、その分だけ保証が増えるわけではないんですね。
2つ目。有料であることは、業務の質を約束しません。手数料を取っている事業者でも、契約書を出さなければ後で困るのは同じです。逆に無料でも、見積もりの内訳と契約条件を全部紙で出してくる事業者はあります。
『いやいや、お金を払ったほうが真剣にやってくれるでしょ』と思いますよね。気持ちは分かります。とはいえ真剣さは金額ではなく、書面の細かさに出ます。ここから先は、その書面の見方の話です。
まずは3つの選択肢を整理しておきます。
| 比べる項目 | 無料エージェント | 有料エージェント | 個人手配(学校に直接申し込む) |
|---|---|---|---|
| 学生が払うあっせん手数料 | かからない | かかる(金額は事業者ごとに異なる) | かからない |
| 収入の出どころ | 学校側からの紹介料で成り立つと説明されるのが一般的(公開情報での裏づけは見当たらない) | 学生から受け取る手数料が中心と説明されるのが一般的(同上) | 該当なし |
| 国の登録・許可制度 | 見当たらない | 見当たらない | 該当なし |
| 契約書・重要事項の説明 | 事業者による | 事業者による | 学校の規約が契約条件になる |
| 特に確認すべきこと | 見積もりの内訳、学校の公式料金との突き合わせ、解約条件 | 手数料に含まれる業務の範囲、解約条件 | 学校の規約、送金方法、手続きの担当範囲 |
| 手間 | 学校選びと手続きを任せられる | 学校選びと手続きを任せられる | 学校とのやり取りを自分で行う(英語での連絡になる場合がある) |
※「国の登録・許可制度」は、留学エージェントそのものを対象とした登録・許可の枠組みを指します。僕たちが確認できた範囲では見当たりませんでした。
この表で一番言いたいのは、無料・有料・個人手配の3つを並べても「国の登録・許可制度」の行が全部同じになる、という点です。制度が守ってくれない領域なので、自分で契約条件を確認するしかない。ここが出発点になります。
『じゃあエージェントを使わないで、学校に直接申し込めばいいのでは』と思った方もいるはずです。それも選択肢の1つです。ただしその場合は、学校の規約がそのまま契約条件になり、申込・送金・書類のやり取りを自分で行うことになります。英語でのメールが前提の学校もある。手間を取るか、仲介を挟むかという判断であって、どちらが安全かという話ではありません。
無料の留学エージェントのからくり|手数料ゼロが成り立つと言われる仕組み
結論、「学校側から紹介料を受け取ることで成り立っている」と説明されるのが一般的です。学生から手数料を取らない代わりに、学校側から報酬を受け取る。だから学生側の負担がゼロになる、という説明ですね。
ただし、ここは正直に書いておきます。この仕組みを検証済みの事実として断定はできません。日本市場やフィリピンの語学学校を対象にした、紹介料の有無や水準を示す公開情報が見当たらないからです。手数料率の具体的な数字も同じで、信頼できる形で確認できませんでした。
つまり「無料のからくりはこうです」と外から一律に説明することはできない。ネット上で「留学エージェントが無料なのはなぜか」の答えとして語られているものも、多くはこの説明の受け売りです。じゃあどうするか。
そこで実用的な話です。その説明を、目の前のエージェントに直接させてみればいい。
①御社の収入はどこから入っていますか
②学校から受け取る報酬は、学校によって違いますか
③自分が支払う金額のうち、御社の取り分はいくらですか
この3つを聞いて、すぐ答えが返ってくるか。言い淀むか。「そこは企業秘密で」と濁されるか。それ自体が判断材料になります。というのも、お金の流れを説明できない相手に、自分のお金の流れを預けることになるからです。
繰り返しですが、判断材料は「無料である」という事実ではなく、「無料のからくりを自分の言葉で説明できるかどうか」です。ここに答えられない相手なら、無料でも有料でも怪しいと判断していい。逆にここを説明できるなら、無料であること自体は疑う理由になりません。
『いやいや、無料なら高い学校を勧められるんじゃないの?』
結論、その動機がゼロとは言えません。ただし誘導されているかどうかは、提案された学校の公式料金と見積もりを1行ずつ突き合わせれば、金額のズレだけは自分で検証できます。そのうえで、なぜその学校なのかまで確かめたいなら、複数のエージェントに同じ条件で提案を出してもらうのが早いです。
もっともな疑問です。学校から報酬を受け取る仕組みなら、報酬の大きい学校に誘導する動機は理屈のうえでは生まれます。
そこで効くのが、見積もりと学校の公式料金の突き合わせです。手順はシンプル。
①提案された学校の公式サイトで、コースと期間の料金を自分で確認する
②エージェントの見積もりを行ごとに並べ、公式料金と一致しているか見る
③差がある行について、その差は何の費用なのかを聞く
ここで注意点があります。「エージェント経由でも学費は必ず同額」とは言えません。それは学校ごとの方針であって、業界共通のルールではないからです。同額の学校もあれば、そうでない場合もある。だからこそ、一般論を信じるのではなく、学校の公式料金と見積もりを1行ずつ突き合わせて確認するべし。
そして提案が1校しか出てこない場合は、理由を聞いてください。なぜ他の候補ではなくこの学校なのか。この質問に、自分の希望(予算・期間・英語レベル・目的)と結びついた答えが返ってくるかどうかが、けっこう分かれ目になります。
提案される国が1つしかない場合も、同じように理由を聞いてください。国によって費用も手続きの重さも変わるので、比べる材料は先に持っておいたほうが早いです。国ごとの違いは、当ブログの社会人におすすめの留学先7選の記事と、アメリカ留学とフィリピン留学の費用の違いの記事にまとめています。
とはいえ、正直に書いておきます。この突き合わせで分かるのは金額のズレだけで、「そもそもなぜこの学校を勧めてきたのか」までは分かりません。無料エージェントには、学校側から報酬を受け取る以上、提案が偏りうるという構造上の弱点があります。逆に、学生からだけ手数料を取る有料エージェントには、学校側に気を遣う理由がないという構造上の強みがある。どちらの構造にも一長一短があるんですね。
だから確実なのは、複数のエージェントに同じ条件(予算・期間・目的)で提案を出してもらって、出てくる学校が重なるかを見ることです。1社だけの提案で決めない。これが構造上の偏りに対する、いちばん現実的な対処法です。
無料の留学エージェントのデメリットは、紹介できる学校が提携先に限られることです
公平のために、無料の側のデメリットも書いておきます。
学校側から紹介料を受け取る仕組みである以上、紹介できるのは提携している学校が中心になります。つまり「世の中のすべての学校から選んでくれる」わけではない。ここは無料・有料を問わず、エージェントというビジネスの構造上そうなります。
だから確認の仕方はシンプルです。
①取り扱っている学校は何校ありますか
②自分の条件だと、候補は何校になりますか
③提携していない学校でも相談に乗ってもらえますか
この3つを聞けば、選択肢の広さは把握できます。そのうえで、候補が1〜2校しか出てこないなら、さきほどと同じで別のエージェントにも同じ条件で出してもらう。それだけでデメリットはかなり打ち消せます。
有料エージェントは何にお金を払っているのか
結論、手数料に含まれる業務の範囲は事業者ごとに違うので、金額ではなく業務の中身で見るしかありません。相場の数字を探しても意味が薄いのは、同じ10万円でも、カウンセリングだけの10万円と、出発から帰国までの手続き代行を含む10万円が同じ言葉で呼ばれているからです。
だから聞くべきはこの2つです。
①この手数料に含まれる業務を、項目で書き出してもらえますか
②含まれない業務は何ですか。それは自分でやるのか、別料金なのか
この2つを書面でもらえば、他社の手数料と初めて比較できる状態になります。
参考になるのが、留学サービスの第三者認証の仕組みです。留学のあっせんには、事業者を審査して基準を満たしていることを示す民間の認証と、加盟事業者が自主ルールを設ける業界団体が存在します。その認証基準には、たとえばこういう項目が含まれます。なお以下は法律ではなく、認証を受けた事業者が守ることになっている自主基準です。認証を受けていない事業者に、法律上の義務として同じことを求められるわけではありません。
- 学生から預かった前払金を保全すること
- 出発日の90日前より前は、学費等の支払いを請求しないこと(ビザの発給など、法定の期限があるものの費用は除く)
- 契約締結から8日以内は、損害賠償や違約金なしで解除できること(出発30日前以降、繁忙期は40日前以降の申込は除く)。これは認証の自主基準であって、このあと出てくる特定商取引法のクーリング・オフとは根拠の異なる別のルールです
- 契約前に重要事項を適切に説明すること
- 契約書面を交付すること
- 海外の学校等へ確実に送金すること
- 適正な広告表示を行うこと
つまり留学エージェントに求められる業務は、学校を紹介することだけではないわけです。お金を預かって確実に送金する、条件を書面にする、解除の道を用意する。ここまでがセットです。
有料エージェントの手数料は、こうした業務の対価として説明されることが多いです。とはいえ料金体系にかかわらず、この7項目は「エージェントとして最低限やっているべきこと」の目安として使えます。無料の会社に当てても構いません。
留学エージェントのトラブルは4つの型に整理されています
結論、留学あっせんのトラブルは大きく4類型に整理されています。自分がどの型に近づいているかを知っておくと、危ないところで止まれます。
①契約を急かす等の勧誘に関するトラブル
②事前の説明と異なる契約内容をめぐるトラブル
③契約が履行されないトラブル
④代金の支払いや解約に関するトラブル
①は分かりやすいですね。「今週中に決めないと枠が埋まる」「このキャンペーンは今日まで」と急かされる形です。ここで覚えておきたいのは、急かされて得をするのは自分ではないという一点だけ。契約書を持ち帰って読む時間をくれない相手とは、そもそも契約しないほうが安全です。
②は、口頭の説明と契約書の中身がズレている型。「食事込みって言いましたよね」が通らないのは、書面に無いからです。だから口頭で聞いた条件は、必ず書面のどこに書いてあるかを確認する。
③は、申し込んだのに学校への手続きが進んでいない型です。防ぐ方法は1つで、各手続きが終わるたびに証拠の書面をもらうこと。これに尽きます。
④は、キャンセルしたい・返金してほしいという段階で揉める型。これが一番件数として想像しやすいと思いますが、実はこれも入口は同じです。契約時に解約条件を読んでいない。
なお、この4類型の整理はかなり以前から使われているものです。それでも今なお有効なのは、4つとも「契約前と契約時にやるべきことを飛ばした結果」という共通点があるからかなと思います。
留学エージェントとの契約はクーリング・オフできるのか|契約書で確認する3点
結論、留学エージェントとの契約をクーリング・オフできるかどうかは、この記事では断定できません。だから確認すべきは法律ではなく、いま自分が申し込もうとしている契約を途中でやめられるのかどうか。これを契約書の文字で確認してください。ここが今日いちばん大事なパートです。
まず「似ているけれど別物のルール」を押さえてください。
日本の特定商取引法には「特定継続的役務提供」という枠組みがあります。継続的にサービスを提供する契約のうち、消費者トラブルが起きやすい7つの役務を対象に、解約のルールを定めたものです。対象はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つ。
ただし、ここで先に断っておかないといけないことがあります。
海外留学のあっせん契約や、海外にある語学学校との契約が、この枠組みに当たるかどうかは、僕たちが確認した範囲では公的な資料で確認できませんでした。「7つの役務に語学教室が入っている」からといって、海外の語学学校に申し込む契約が同じ扱いになるとは限りません。ネット上では「留学エージェントとの契約はクーリング・オフできる」と書かれていることもありますが、その根拠は特定できませんでした。「日本国内の語学教室にはこういうルールがある」という事実と、「留学のあっせんや海外の学校との契約も同じ扱いになる」という推測は、分けて考える必要があります。
そのうえで、枠組みの中身も書いておきます。ここから先は日本国内の語学教室の話であって、あなたの留学契約の話ではない、という前提で読んでください。
対象になる要件は、契約期間が2か月を超え、契約金額が5万円を超えるものです。対象になる契約なら、法定書面を受け取った日から数えて8日以内は、書面または電磁的記録でクーリング・オフ(定められた期間内なら理由なく契約を解除できる制度のこと)ができます。期間が過ぎた後も、契約期間中であれば理由なくいつでも中途解約が可能です。中途解約で事業者が請求できる損害賠償額にも上限があり、役務の提供開始前なら15,000円まで、開始後なら「5万円」または「契約残額の20%」のいずれか低い額まで(これに提供済みの役務の相当額が加わります)とされています。
繰り返しますが、この数字を自分の留学契約に当てはめて「8日以内なら解約できる」「解約料は15,000円で済む」と考えないでください。
『じゃあ結局どうすればいいの?』となりますよね。答えはシンプルで、法律に当たるかどうかを推測するより、目の前の契約書に解約条件が書いてあるかを確認するほうが確実です。
見るのはこの3つ。
①いつまでなら、いくらの負担で解約できるのか
②出発日からの日数によって、その金額がどう変わるのか
③すでに学校へ送金された分は、どういう扱いになるのか
契約書にこの3つが書いてあれば、申し込む前に条件を比べられますし、後で「聞いていない」と揉める場面が減ります。書いていない、または「当社所定の金額」としか書いていない場合は、金額を書面に書き足してもらってください。口頭で聞いただけでは、後から確認する手段がありません。
ただし1つ補足を。契約書に書いてあること自体は、その条件が有効だという意味ではありません。解約料の金額に納得がいかないときは、書いてあるからと諦めずに、お住まいの自治体の消費者向け相談窓口に相談してみてください。
怪しい留学エージェントの見分け方|会社そのものを確かめる3つの方法
結論、会社の実在と連絡先は、契約前に自分で確かめられます。方法は3つです。
①ウェブサイトの事業者情報を見る
ウェブサイトで申込を受け付ける形で広告する事業は、特定商取引法の「通信販売」に当たります。通信販売に当たる場合、同法で表示が義務づけられるのは、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号。法人がインターネットで広告する場合は、代表者または業務責任者の氏名も必要です。さきほどのクーリング・オフとは別の条文の話で、こちらは広告の表示についてのルールです。とはいえ留学のあっせんがこのルールの対象に入るかどうかも、僕たちが確認した範囲では断定できませんでした。だから以下は「法律違反かどうか」の判定基準ではなく、「まともな事業者ならこの程度は出しているはず」という目安として使ってください。
ポイントは中身の条件です。名称は、法人なら登記簿上の名称であることが必要で、通称・屋号・サイト名だけでは足りません。住所は現に活動している住所、電話番号は確実に連絡が取れる番号であることが求められます。しかも、消費者が容易に認識できる文字の大きさと場所で表示することとされています。
だから「サービス名しか書いていない」「問い合わせフォームしか無い」「表示が極端に小さい」といったサイトは、まず表示がどこかにないか探してみてください。探しても見つからないなら、それは1つの判断材料になります。
②法人番号の公表サイトで実在を確認する
国が運営する法人番号の公表サイトでは、法人の商号又は名称・本店又は主たる事務所の所在地・13桁の法人番号を無料で確認できます。サイトに書かれている会社名で検索して、所在地が一致するかを見る。名前と所在地を照らすだけなので、手間はかかりません。
③第三者認証や業界団体への加盟を確認する
留学サービスの第三者認証(事業者を審査して基準を満たしていることを示す民間の認証のこと)や、業界団体への加盟状況も、判断材料の1つになります。前払金の保全や契約書面の交付といった基準を満たしていることの目安になるからです。
とはいえ、これらは加盟していないと営業できない性質のものではありません。加盟していないから信用できない、という単純な話でもない。あくまで材料の1つとして見てください。
もう1点。航空券や宿泊まで包括して手配して対価を取る形態は、旅行業法の登録が問題になりうる領域です。留学のあっせんと、運送・宿泊の手配は分ける。旅行部分の代金は分離して明示し、旅行業者に直接支払わせる。この切り分けをしておくのが無難です。だから見積もりに航空券や現地ツアーが混ざっている場合は、その代金が誰に支払われるのかを必ず確認してください。エージェントが一括で受け取る形になっているなら、その理由を聞いておくべし。
フィリピン留学のエージェント選びで確認すべき2点|現地払いとSSP
結論、フィリピン留学では「現地払い分が見積もりに入っているか」と「SSP(就学許可証)の手続きを誰がやるのか」の2つを必ず確認してください。
見積もりに現地払い分が入っているかを確認する
フィリピンの語学学校には、渡航前に日本円で払う分と、現地に着いてからペソで払う分に分かれている料金体系があります。ここが他の国と比べて独特なところです。
何が起きるかというと、渡航前に払う分だけを見て「思ったより安い」と判断してしまい、現地で追加の支払いが出てくる。金額そのものが不当なわけではなく、単純に見積もりの範囲を勘違いしているケースですね。
だから見積もりをもらったら、「これは総額ですか、それとも渡航前に払う分だけですか」と一言確認する。現地払い分がある場合は、項目と目安の金額を書面でもらう。これだけで比較の精度が変わります。
なお、その見積もりの金額そのものが妥当かどうかを判断したい方は、当ブログのフィリピン留学1ヶ月の費用の記事で、日本で払う分と現地で払う分を項目ごとに分解しています。3ヶ月・半年で考えている方は、フィリピン留学3ヶ月の費用とフィリピン留学半年の費用の記事もあわせてどうぞ。手元の見積もりと1行ずつ突き合わせる材料になります。
SSPの手続きを誰がやるのかを、申し込みの前に確定させる
もう1つがSSP(就学許可証。フィリピンで外国人が語学学校に通うために取る許可のこと)です。SSPはフィリピンの入国管理当局が発給するもので、申請には学校側が出す書類が必要になります。
確認すべきは、この手続きを学校がやるのか、エージェントがやるのか、自分でやるのか。そして費用は渡航前の支払いに含まれるのか、現地払いなのか。ここが曖昧なまま渡航すると、現地で慌てることになります。手続きの要件や申請方法は変わることがあるので、最新の内容は申し込み先の学校かエージェントに確認してください。
SSPやビザ延長の条件は、滞在日数によって変わります。日数ごとに手続きがどう増えるかは、当ブログのフィリピン留学3ヶ月の費用の記事で階段状に整理しているので、長期を考えている方はそちらもどうぞ。
『そこまで細かく聞くと面倒な客だと思われない?』と心配になるかもしれません。大丈夫です。むしろ、この質問に面倒そうな顔をする相手かどうかを見るのが目的だと思ってください。
契約前に書面で確認しておく項目と、記録の残し方
あわせて、契約前に確認しておくとよい項目を挙げておきます。
①代行業務の範囲と、責任の範囲
②支払経費に含まれるものと含まれないものの明細(手数料、語学研修費、学費、宿泊費、食費、渡航費、保険料など)
③現地に委託業者がある場合は、その所在地・代表者氏名・業務年数などの情報と法的地位、その業者との関係
そして記録を残すこと。さきほど「契約が履行されないトラブル」で書いた証拠の書面は、ここで具体化しておきます。契約書・領収書・メールの写しは保存する。電話や面談は、日時・相手の名前・話した内容をメモしておく。さらに各種手続きが完了した都度、受入先の正式な入学許可書や、学費等を送金したことを示す書面を必ずもらってください。これがさっきの「契約が履行されないトラブル」への最も現実的な備えになります。
留学エージェントの選び方まとめ|契約前チェックリスト11項目
結論、留学エージェントと契約する前に確認すべきことは、次の11項目に集約できます。無料エージェントでも有料エージェントでも、当てるリストは同じです。1社だけに当てるのではなく、2社以上に当てて並べると差がはっきり出ます。
①お金の流れを説明できるか。収入がどこから入っているのかを、その場で言えるか
②料金の内訳を書面で出せるか。手数料・学費・宿泊費・食費・渡航費・保険料などが行ごとに分かれているか
③含まれないものが明記されているか。「別途かかるもの」の欄があるか
④解約・返金の条件が契約書に書いてあるか。いつまでなら、いくらの負担で解約できるかが金額で書いてあるか
⑤代行業務の範囲と責任の範囲が書面にあるか。どこまでがエージェントの仕事で、どこからが自分の仕事か
⑥学校の公式料金と見積もりを1行ずつ突き合わせたか。差がある行の理由を聞いたか
⑦事業者情報が確認できるか。登記簿上の名称・現に活動している住所・つながる電話番号・代表者名がサイトに載っているか。法人番号の公表サイトで一致するか
⑧フィリピンなら、現地払い分の有無とSSPの手続きの担当者が明確か
⑨急かされていないか。契約書を持ち帰って読む時間をもらえるか
⑩2社以上に同じ条件で見積もりと提案を出してもらったか。同じ学校・同じ期間・同じ部屋タイプで並べたか
⑪渡航中にトラブルが起きたとき、誰がどう対応するのかが書面にあるか。緊急時の連絡先が明示されているか。担当者がその学校を実際に見たことがあるか
繰り返しですが、判断すべきは無料か有料かではありません。お金の流れを説明できるか。料金の内訳を書面で出せるか。解約・返金の条件が契約書に書いてあるか。この3つに答えられない事業者は、料金体系がどちらでも、いったん立ち止まったほうがいいかなと思います。逆に3つとも答えられたからといって安全が確定するわけではないので、最後は自分で書面を読んで決めてください。
今日1つだけ持ち帰るなら、これです。留学エージェントの信用は、値段ではなく「中身を書面で見せられるかどうか」で決まる。
そして今日できることも1つだけ。手元の見積もりと契約書を開いて、解約の条件が金額で書いてあるかを探してみてください。見つからなかったら、そこが最初に聞くべきことです。
もし契約後にトラブルになった場合は、お住まいの自治体の消費者向け相談窓口に相談できます。1人で抱え込まなくて大丈夫です。
留学FACTORYに、この11項目を当てるとどうなるか
僕たちが運営する留学FACTORYは、エージェント手数料ゼロで留学をサポートしています。まさにこの記事のテーマにある「無料のエージェント」です。
だから最後に、上のチェックリストを僕たち自身に当てたらどうなるかを書いておきます。
お金の流れも、料金の内訳も、解約や返金の条件も、気になるところから遠慮なく聞いてください。フィリピンの学校であれば、渡航前に払う分と現地で払う分の切り分けや、SSPの手続きを誰が担当するのかについても、そのまま質問してもらって構いません。聞いたうえで納得できなければ、他のエージェントを選んでもらってOKです。
運営体制については、代表を含めて顔出しで公開しています。誰が運営しているのか分からない状態でお金の話をするのは、僕たちも嫌だからです。
対応しているのはフィリピンを含む12ヶ国。サポート範囲はカウンセリングから留学中、帰国後までです。選択肢を広く持ちたいという考えからそうしていますが、逆に1国に特化しているエージェントのほうがその国の情報は深い、という面もあります。そこは比べてみてください。
とはいえ、この記事を読んで最初にやってほしいのは僕たちに相談することではありません。いま手元にある見積もりと契約書を、上の11項目で読み直してみることです。⑪は僕たちにとっても耳の痛い項目で、事業年数の長い会社のほうが強いところです。それも含めて比べてください。それで問題なければ、そのまま進めてもらって構いません。
もし読んでみて「この行が何の費用か分からない」「解約の条件がどこにも書いていない」となったら、そのときに聞いてください。他社の見積もりの読み方についてのご相談でも大丈夫です。
まずは気になる点だけでも、記事下のLINE無料相談からどうぞ。
よくある質問
無料の留学エージェントは本当に無料ですか?あとから追加費用がかかりませんか?
結論、無料と書かれているのは「エージェントに払うあっせん手数料」の話であって、留学そのものが無料になるわけではありません。学費・宿泊費・食費・渡航費・保険料といった費用は当然かかります。だから確認すべきは「無料かどうか」ではなく、見積もりに何が含まれていて何が含まれていないかです。契約前に確認したいのは、支払経費に含まれるものと含まれないものの明細(手数料、語学研修費、学費、宿泊費、食費、渡航費、保険料など)です。特にフィリピン留学では、渡航前に日本円で払う分と現地でペソで払う分に分かれている料金体系があるので、「これは総額ですか、渡航前に払う分だけですか」と一言確認してください。含まれないものが書面に明記されていれば、あとから想定外の請求が出てくる余地は小さくなります。
無料の留学エージェントと有料の留学エージェント、どちらが安心ですか?
結論、料金体系だけでは判断できません。というのも、確認できる範囲では留学エージェントそのものを対象にした国の登録・許可制度は見当たらないからです。つまり有料だから国のお墨付きがある、ということにはなりません。判断材料になるのは3つで、①お金の流れを説明できるか ②料金の内訳を書面で出せるか ③解約・返金の条件が契約書に書いてあるか、です。無料エージェントについては「学校側から紹介料を受け取ることで成り立っている」と説明されるのが一般的ですが、これを検証済みの事実として断定できる公開情報は見当たりません。だからこそ、その説明を目の前の担当者に直接してもらうのが確実です。答えられるかどうか自体が判断材料になります。有料の場合は、その手数料でどこまでの業務をやってくれるのか、業務の範囲を書面で確認してください。なお、無料と有料は構造上の強みと弱みがちょうど逆になります(詳しくは後の質問で触れます)。どちらを選ぶにせよ、複数のエージェントに同じ条件で提案を出してもらうと差が見えます。
留学エージェントとの契約はクーリング・オフできますか?
言い切れません。ここは正直にお伝えしておきます。日本の特定商取引法には「特定継続的役務提供」という枠組みがあり、対象はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つの役務です。このうち語学教室は、契約期間が2か月を超え、契約金額が5万円を超えるものが対象になります。この枠組みが適用される契約なら、法定書面を受け取った日から8日以内は書面または電磁的記録でクーリング・オフができ、期間経過後も契約期間中はいつでも理由なく中途解約が可能です。中途解約時の損害賠償額にも上限があり、役務提供開始前は15,000円、開始後は「5万円」または「契約残額の20%」のいずれか低い額(これに提供済み役務の相当額が加わります)とされています。ただし、海外留学のあっせん契約や、海外にある語学学校との契約が、この特定継続的役務提供に当たるかどうかは、公的な資料では確認できませんでした。「7つの役務に語学教室が入っているから、海外の語学学校との契約も対象になる」とは考えないでください。ですので「留学エージェントとの契約はクーリング・オフできる」とも「学校との契約ならクーリング・オフできる」とも考えず、契約書に解約条件がどう書かれているかを自分で確認するのが確実です。いつまでなら、いくらの負担で解約できるのか。出発日からの日数で金額がどう変わるのか。すでに学校へ送金された分はどうなるのか。この3点を金額で書いてもらってください。
無料の留学エージェントだと、紹介料の高い学校ばかり勧められませんか?
結論、その動機は理屈のうえでは生まれますが、誘導かどうかは自分で検証できます。手順は3つ。①提案された学校の公式サイトで、コースと期間の料金を自分で確認する ②エージェントの見積もりを行ごとに並べ、公式料金と一致しているか見る ③差がある行について、その差は何の費用なのかを聞く。ここで注意したいのは「エージェント経由でも学費は必ず同額」とは言えないことです。同額とする学校もあれば、そうでない場合もあり、業界共通のルールではありません。だから一般論を信じるのではなく、公式料金と見積もりを1行ずつ突き合わせてください。ただし正直に書くと、この突き合わせで分かるのは金額のズレだけで、「そもそもなぜこの学校を勧めてきたのか」までは分かりません。無料エージェントには学校側から報酬を受け取るぶん提案が偏りうるという構造上の弱点があり、逆に学生からだけ手数料を取る有料エージェントには学校側に気を遣う理由がないという強みがあります。だから確実なのは、複数のエージェントに同じ条件(予算・期間・目的)で提案を出してもらい、出てくる学校が重なるかを見ることです。1社だけの提案で決めない。あわせて、提案が1校しか出てこない場合は理由を聞いてください。自分の希望と結びついた答えが返ってくるかどうかが分かれ目になります。なお会社の実在そのものは、サイトの事業者情報(登記簿上の名称・現に活動している住所・つながる電話番号・代表者名)と、国が運営する法人番号の公表サイトでの照合で確認できます。
フィリピン留学の見積もりを受け取ったとき、特に注意すべき点は何ですか?
2点あります。1点目は現地払い分です。フィリピンの語学学校には、渡航前に日本円で払う分と、現地に着いてからペソで払う分に分かれている料金体系があります。渡航前に払う分だけを見て総額と勘違いすると、現地で追加の支払いが出てきて驚くことになります。見積もりを受け取ったら「これは総額ですか、渡航前に払う分だけですか」と確認し、現地払い分がある場合は項目と目安の金額を書面でもらってください。2点目はSSP(就学許可証。フィリピンで外国人が語学学校に通うために取る許可のこと)です。SSPはフィリピンの入国管理当局が発給するもので、申請には学校側が出す書類が必要になります。確認すべきは、この手続きを学校がやるのか、エージェントがやるのか、自分でやるのか、そして費用が渡航前の支払いに含まれるのか現地払いなのか、という点です。要件や申請方法は変わることがあるので、最新の内容は申し込み先の学校かエージェントに確認してください。あわせて、学校の公式料金と見積もりを1行ずつ突き合わせて、差がある行の理由を聞いておくと安心です。
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